いつもと変わらない朝……。
嗚呼……朝……。
「ぉぃ……おぬち゛……」
「ぁぃ……」
「ちがぅ……しょうゆ゛ちがぅ……」
「ぁい……」
目玉焼きとパン目玉焼きとパン目玉焼きとパン……。
パンと目玉焼き……。
可愛いアナウンサー……。
猛烈ダッシュ……行こうよ学園……。
「…………」
「お主、無視かっ!」
うん……? なんか、混姫だけ今日、頭一つ分抜けて元気……?
「なに゛……うっうう゛んっ」
喉すら起きてないや……。まあ、いつもの事だけど。
「お主、昨日の寝言はなんじゃっ!」
「寝言……? わからん。寝言だしさ」
逆に覚えてたら、寝言じゃねえよな。
「ももちゃんさぁ……ねごと……ぅるさぃんだよ……」
爺までなんか言ってるな……。全く聞き取れないんだけど……。
「こいよぉ……」
脱力しすぎなファイティングポーズで言われてもな……。
「なに? なんて言ってたわけ?」
「お主、覚えてないってのかっ?」
「いや、お前、話聞いてた? 寝てる時の言(げん)だから、寝言なわけだぞ? わかるわけないじゃないか」
「ぐぬぅ……確かに、そうじゃ……。あちが悪かった……」
えええええええええっ!? 素直に認めて、それ以降なしのパターンっ!?
「いや、あのさ、気になるから言ってくれよ。とりあえず」
「うぬ。お主は、昨日……三部作だったのじゃ……」
「さ、三部作ぅっ!?」
「ああ。百ちゃんさ、ほんと、なんか凄かったぞ……」
なにっ!? この二人の口が堅くなるほどの何が起こってたのっ!?
「まず、一部はのぉ……巨大化したあかいさんに揺すられておったみたいじゃ……」
「ああ。“やめてよあかいさんっ!ちゃんと作業をしてよ!”と迫真の演技だったな……」
そ、それは……怖いな……。あんなウルトラメンや放射能怪獣並みの大きさの人に引越し作業すらして欲しくないし……。
「二部はのぉ……ほんと、ほんとよくわからぬが……“もっとこっちこいよ、ゴニゴニマン”って言っておった」
「ああ。しつこくな。ほんと、しつこくな……。口説いてやがった……」
ゴニゴニマンを口説いてた……! というか、ゴニゴニマンってなにっ!?
「それで、三部……最終章じゃ……。のう?」
「ああ……。最終章だな……」
ええっ……。なんで二人『お父さんとお母さん、離婚するんだ』くらいの重苦しさ出すのっ……!
「なに言ってたんだ……?」
聞くの超怖いけど、ここまできたら聞かないと気持ち悪いっ!
「うむ……。最終章はのぉ……。お主……」
「うん……。百ちゃんな……」
飲み込む唾がいつも以上に重く、ゴクリと音が鳴る。
「みわさんを……退治しようとしておったぞ……」
「ああ……。物凄い死闘だったようで、部屋中転がりまわってたぞ……。顔面に3回屁をこかれたしな……」
なっ……あ、あの、みわさんを退治っ……。お、恐れ多すぎるっ……なにやってるんだ、昨晩の俺っ……!
「それは……やばいな……。いや、ヤヴァイな……」
「うむ。ヤヴァイのじゃ……」
「ああ。かなりヤヴァイな……」
凄く衝撃的に今日という日が始まってしまった……。
大丈夫なのか……俺。